サンライズ・佐々木新氏インタビュー

「現在、まさにいろいろと企画中のものがあるのは事実ですが、まだ言えない部分が多いです。ただひとつだけ言えるのは、近い将来宇宙世紀を愛するガンダムファンが喜んでもらえるような作品を発表できると思います。MS IGLOOや劇場版Ζガンダムが担っていたものを別の形で、それも本腰を入れて再提示するつもりなので、楽しみにしていてほしいですね。」「GREAT MECHANICS 16」より

宇宙世紀を愛するガンダムファン」=「SEEDシリーズを受け付けない旧来ファン」というのは暗黙の了解として…とかくファンの世代の差が存在するシリーズってのは厄介だと思う。「MS IGLOO」に共感する種類の人間はまずSEEDシリーズは受け付けないだろうし、本来、ロボットものに限らずアニメーションの中核ターゲット層である小学生には「IGLOO」見るならもっと別のをまずは見ろ、と言いたくなる。それほどに対象が「濃い」のが「IGLOO」。本放送が1985年で、その再編集・総集編の劇場版Zに関しては各種ゲームの効果もあってもう少しハードルは下がるが、最も共感する世代はリアルタイムで「Zガンダム」を視聴していた世代に他ならないだろうし。遍く「ガンダム」ファンを満足させるガンダム・コンテンツってのは難しいってのは1991年の「F91」の頃には言われてたけど今となってはもう不可能だと実感するしかない。受け手も作り手もそのへんの自覚をしないといけない。本当に厄介だ。

宇宙世紀を愛するガンダムファンが喜んでもらえるような作品」は、新TVシリーズだという専らの噂。「SEED」のような作風は大方の旧ファンには支持されていないとはいえ次シリーズから方向転換して旧ファン向けのTVシリーズというのもどうかと思う。新シリーズが「SEED」ファンから否定されると結局のところ「SEED」の存在意義が無くなってしまう。アンチSEEDを標榜する旧ファンの視点で別に構わないと言うのは無責任すぎるし、あれだけの数字を集めたシリーズだけにそう簡単に黒歴史化はしないと思うが、「SEED」に対して旧ファンが行ったバッシングと同じようなバッシングが新シリーズに対して行われるのでは、という事態をどうしても考えてしまう。「ガンダム」世界としては好ましくない展開のはずだけど、そこらへんは考えているのだろうか。安直に「もう破綻してバッシングが凄いSEEDシリーズよりも確実な展開の新作を」程度の認識じゃ結局、劣化コピーレベルの「ガンダム」しか期待できない。勿論「SEED」ファンはそこを突いてくるかもしれないし、下手すれば「無茶苦茶だったけど意表を突いた快作」みたいな評価が「SEED」に対してされかれない。これでは旧ファンにとっては逆効果もいいところだ。一番いいのは「SEED」シリーズを続行して商品展開路線・萌え路線を貫きつつも旧ファン受けする展開になってくれればいいのだが、それは無理だろうな…
でも旧ファンと「SEED」ファンを差別化して考える必要があるのかまだ疑問なのでここまでにしておく。このへんのカテゴライズは細分化する気になればいくらでもできるから。

そもそも俺みたいな弱小ファンがこんな心配をするから面倒なことになる。「俺は好きだからいいや」みたいな割り切りで済ませられたらどんなに楽か。だけど「ガンダム」を俯瞰するとこの手の意見衝突は不可避なモノなんだよね…もういい。(←ことぶきつかさ風)