恐ろしいまでにロボットアニメな展開。空挺発進、4人チーム、フォーメーション、誰も死ねない。専守防衛からやっと攻勢に出てペプシ型だろうがクラゲ型だろうがほとんど瞬殺。あと最終決戦場で兵站とは恐れ入った。色々言われてたけど音楽も自己主張していてよかったと思う。ジークフリードシステムごと囚われつつもフェストゥムに「痛み」を打ち込んだ総士の熱い台詞とラストの「Shangri-La」。後日談系のラストが似合いそうな作品だったのに無かったのは残念だったけど、立派に纏めたんじゃないでしょうか。

 で、「蒼穹のファフナー」総括。まず声優が頑張っていた。「中の人はそこにいますか?」「中の人などいないッ!」という完璧なネタもあることだし(意味不明)
 メカ関連。ザルヴァートル、ノートゥング、メガセリオン、ベイバロン、グノーシスと多様なファフナーが登場したけどもっと顕著に差別化して欲しかった。用途としてはどれもフェストゥム戦を考えた機動戦闘向きってのは当然なんだけど、ロボットアニメとしては、戦術的にどうかはともかくデストロイドのような対空邀撃用ファフナーとか、ね。出したら出したで「砲戦フレームかよ!」と言われるのだろうけど…随分と極端な例だが801アニメに落ちたくなければこれくらいは。
 ファフナー・ザルヴァートルモデル2体の名称が示す「存在」と「無」を巡る展開が軸であったのだろうけど、それに直面してたのが主人公側より寧ろフェストゥム側。アニメで、非人類の敵勢力の悩み?なんてまず気にしないし…ミョルニアとかマスター型(人語を解するタイプ)が出てくるまでは分かりようがなかった。出てきてもやたら「我々」を繰り返す、という印象だったし。最終話で乙姫が見せる「消えることヘの恐怖」、フェストゥムを理解する、理解させるという大仕事を遂げた総士が説く「生と死の輪廻」。鬱屈するような難解台詞よりこう衝動的に言ってくれる方が錐の一突きのように効く。『そこにいますか?』と問いの形で放るのではなく『ここにいるからこそ』発露してるわけだから。
序盤がグダグダというか勝手に突っ走ってる状態だったために最後まで評価が良くなることは無かったが、切る事も出来なかった。好きな人は好きだろうし、平井アレルギーの悪化を招いた人もいるだろう。安定して面白いアニメとは?を考えるのにはいい材料じゃなかったかな。
 「あなたは、そこにいますか?」